骨組みに使われる素材は、木材、鉄骨、鉄筋、コンクリートなどがあり、その素材によって「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」などと呼ばれます。
木造(W造)
木材は断熱性に優れており、建物内部の温度を一定に保ちやすくなります。また、木造の壁や床によって熱が蓄えられるため、熱の放出がゆっくりと行われ、保温性が向上します。
戸建てや戸数が少ないアパートで用いられ、住宅としては普及率の高い構造です。木材の自然な風合いや温かみは建物に落ち着いた雰囲気や居心地の良さを演出するため、商業施設や教育施設、文化施設などにも採用されています。
・比較的軽量で加工しやすいため、建築コストが抑えられる。
・調湿性や通気性がよい。
・断熱性、保温性に優れている。
・耐久性が低い。
・防音性が低い。
・シロアリ等の害虫対策が必要となる。
軽量鉄骨造(S造)
軽量鉄骨造は、厚みが6mm未満の鉄鋼材を骨組み部分に使用した構造のことです。
軽量で扱いやすく、柔軟な設計が可能なため、多様な間取りやデザインに対応できます。また、短期間での施工が求められる場合や、耐震性が重視される場合などにも採用されることがあります。
一戸建てやアパート、マンションなどの集合住宅や、店舗やショッピングセンターなどの商業施設、小規模なオフィスビルやテナントビル、介護施設や福祉施設、教育施設などに採用されています。
・材料を工場で大量に生産するため、品質が安定しており、材料費が抑えられる。
・現場で加工する手間がなく、人件費も抑えられる。
・木造より耐震性が高い。
・断熱性が低い。
・火事などで高温になると変形する。
・防音性が低い。
重量鉄骨造(S造)
その強度や耐久性により大きな荷重や地震にも耐えることができます。また、柔軟な設計性から、大規模な建築物や広い空間を必要とする施設に適しています。
多くのテナントが入居する複合商業施設、高層ビル、工場や倉庫などの産業施設、公共施設や文化施設、教育施設などで採用されています。
・耐久性や耐震性が高い。
・柱の少ない広い空間を確保できる。
・柱の配置に制約が少ないため、建物のレイアウトや間取りの自由度が高い。
・防音性が低い。
・鉄骨の厚みが増すほど材料費が高くなる。
・建物の重みに耐えられるよう、地盤を補強するための費用が高い。
鉄筋コンクリート造(RC造)
コンクリートは圧縮に強く引張力に弱い素材ですが、引張力が強い鉄筋を組み合わせることで頑丈な材料となります。
その強度と耐久性から、大規模な建築物や耐震性が求められる施設に適しています。また、防火性能を求められる場合や、大きな荷重に耐える強度が必要な場合にも適しています。
住宅だけでなく、商業ビルやオフィスビルなどの商業施設、工場や物流施設などの産業施設、公共施設や文化施設、教育施設などに採用されています。
・耐久性・耐震性に優れている。
・耐火性に優れている。
・防音性に優れている。
・柔軟な設計が可能。
・通気性が悪い。
・施工期間が長い場合がある。
・建設費用が高い。
・局所的な集中荷重には弱い。
・建物の重みに耐えられるよう、地盤を補強するための費用が高い。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
超高層ビル、ショッピングモール、百貨店などの大型の商業施設、工場や倉庫などの産業施設、鉄道駅や空港ターミナルビルなどの公共施設、ホールや劇場、美術館などの文化施設などに採用されています。
・鉄筋コンクリート造よりも更に高い強度と耐久性を備え、耐震性にも優れている。
・防音性が非常に優れている。
・柔軟な設計が可能。
・耐火性に優れている。
・通気性が悪い。
・建設費用が鉄筋コンクリート造よりも更に高い。
・建築の工程が比較的複雑なため、施工期間が長くなる場合がある。
・建物の重みに耐えられるよう、地盤を補強するための費用が高い。
・メンテナンスが必要。
プレキャストコンクリート造(PC造)
工場から運ばれてきた部材を現場で組み立てるだけで建物が建てられます。
RC造との違いは鉄筋コンクリート部材を現場で製造するか工場で製造するかという点にあります。建物構造としてはRC造に含まれます。
・工場で生産されるため、高品質で安定している。
・現場で鉄筋コンクリートを製造するよりも建設コストが抑えられる。
・現場では組み立てるだけなので、工期が短くできる。
・コンクリート接合部分に漏水防止対策が必要。
・建物の設計変更が難しい。
・運送費がかかる。
・規格外の形に対応しづらい。
コンクリート充填鋼管構造(CFT造)
鋼管の強度とコンクリートの耐久性を組み合わせることで、高い耐震性や構造的な安定性を実現します。
高層ビルや超高層ビル、橋梁、タンクやシロなどの液体や粉体の貯蔵施設、灯台や風力発電タワーなどの支柱や指示構造など、耐久性と安定性が求められる場所で採用されています。
・地震や風などの外力に対して高い耐震性を持つ。
・鋼管の強度により、大きなスパンや高層建築物を実現できると同時に、鋼管の軽量性により、自重を軽減することができる。
・現場でも組立や施工工程の短縮が可能。
・鋼管の製造や施工には高度な技術や設備が必要となるため、一般的な建築構造と比較して費用が高くなる場合がある。
・鋼管は錆びや腐食に弱いため、適切な防蝕処理が必要。また、定期的なメンテナンスが必要となる。
・鋼管の大きさや形状によって、施工上の制約が生じることがある。
コンクリートブロック造(CB造)
日本ではコンクリートブロックを積み上げただけでは建物としての許可が下りないので、鉄筋が中に通っています。
住宅や商業施設の外壁や内壁、基礎部分、工場や倉庫などの産業施設、防災倉庫や防災センターなどの防災施設などで採用されています。
・耐久性が高い。
・耐火性が高い。
・施工が比較的容易。
・一定の断熱性、防音性がある。
・コンクリートブロックは重いため、建物の基礎や構造に十分な強度を要する。
・コンクリートブロック単体では断熱性に限りがあるため、断熱材の追加工事が必要となることがある。
・デザインの自由度が低い。